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1974年7月 1日 (月)

新菱通産(株)[札幌市]

需要不振の札幌マンション業界 ついに倒産第一号(新菱通産)

供給過剰に加え、昨年後半から需要不振に見舞われている札幌のマンション業界で、一日、ついに倒産第一号の業者が出た。十階建てマンションの建築を進めて来たが、わずか三戸しか売れず、資金が底をついた―という文字どおりの“マンション不況”倒産。札幌市内を中心にした一昨年からのマンションブーム以来、道内初の倒産で、同業界の危機がいよいよ現実化したと金融筋はみている。

倒産したのは「新菱通産」(本社・札幌、資本金一千万円)で、六月二十九日に次いで一日、二回目の不渡り手形を出した。不渡り額合計一億五千万円、負債総額は八億円に上る見込み。

民間信用調査機関の帝国興信所札幌支店調べによると、同社は一昨年九月設立され、本州大手不動産会社との業務提携で札幌市内の不動産売買、仲介業をしていた。その後、昨年五月からは同市内でのブームに目をつけてマンション部門に乗り出し、同市中央区南五西一〇に地下一階、地上十階建ての鉄筋マンション“ノーブルハウス新菱”の建設に着手、今年八月の完成予定で、昨年十一月から総戸数六十五戸中五十七戸を売り出した。

しかし、昨年からの売れ行き不振をそのまま反映して、売約済みとなったのはわずか三戸。しかも資材高騰から工費は予定の五億円が七億円にふくらむなど、採算が悪化、今年一月以降は販売を中止し、建物の転売、転用を検討していたが、いずれも軌道に乗らなかった。この結果、六月末決済の工事代金は調達したものの、一部手形を落とせず、倒産に追い込まれた―という。マンション業者の倒産は四十五年六月に札幌市内であって以来四年ぶり。

同市内では、昨年六月の建築基準法改正前に、いわゆる駆け込み着工がマンション部門にもみられ、マンションは異常ともいえる建築ブームを引き起こした。帝国興信所札幌支店によると、昨年以降の新築マンションは札幌市内だけで百一棟、七千四百五十一戸に達しているが、売れたのは四千百九十三戸、販売率五六%にとどまっている。特に、今年に入ってからは、こうした供給過剰傾向に加えて、販売額の高騰、金融引き締めから購買力が大幅にダウン、販売率が二〇―三〇%ラインに低迷しているマンションも多いといわれ業界全体が不況色を強めていた。

同社のマンションも最低価格(1DK)で五百七十万円、最高(3LDK)は千七百八十万円、平均千二百万円台と中堅サラリーマン層をねらった中規模マンションだが、それでも需要不振をハネ返すことが出来なかったわけ。

同社は、いったん会社整理入りし、再建の方針だが、総需要抑制策が継続中のところから、今後中規模業者を中心に、類似の倒産が出る恐れは十分といえそうだ。

北海道新聞
1974/07/02
http://www.hokkaido-np.co.jp/
 

フォト海道(道新写真データベース)
【写真説明】完成を前に倒産した新菱通産のマンション=札幌市中央区 掲載 1974/07/02

 

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